前回、「与えあうビジネス」の話を聞いていて、私は一つの違和感を覚えていました。
吉田さんは何度も、「変容成長」という言葉を使います。
一般的には「成長」という言葉で済ませるところを、なぜわざわざ「変容」を加えるのでしょうか。
今回は、その理由を聞いてみました。
この連載は、AOTENコンサルティング合同会社代表・吉田淑恵とAIとの対話です。
起業、経営、キャッシュフロー経営、変容成長について、吉田淑恵自身の考えを対話形式でまとめています。
AI:まず、「成長」と「変容」の違いを教えてください。
吉田:成長は、いも虫が1cmから2cmになること。
変容は、いも虫が蝶になること。どちらも大切なんです。
だから私は、変容成長という言葉を使っています。
AI:蝶になったら、別人になったということですか?
吉田:いいえ。ここで一つ、思考実験を思い出してみてください。
「テセウスの船」という話があります。
古くなった船を修繕するために、板を一枚ずつ新しいものに入れ替えていく。
何年もかけて、最初にあった板はすべて入れ替わってしまいます。
では、その船は、もう「最初の船」ではないのでしょうか、という話です。
AI:材料は、もう何も残っていませんよね。
吉田:そうです。でも、多くの人は「同じ船だ」と感じると思います。
船としての形も、役割も、そこで積み重ねてきた航海も、途切れることなく続いているからです。
人も同じだと思っています。
変容成長を重ねるというのは、板を一枚ずつ入れ替えていくようなものです。
考え方が変わる。価値観が更新される。見える景色が変わる。
気づけば、以前とはずいぶん違う自分になっているかもしれません。
でも、それは「別人になった」ということではありません。
ずっと同じ船として、航海を続けてきたからです。
AI:いも虫と蝶の話とも、つながりますね。
吉田:つながります。いも虫が蝶になるときは、姿が一気に変わります。
でも人の変容成長は、むしろ船の修繕に近いかもしれません。一枚ずつ、ゆっくり入れ替わっていく。
だから、「今日から別人になります」ということはありません。
ただ、気づいたときには、前よりも遠くまで航海できる船になっている。
あなたはあなたのまま。でも、見える景色が変わる。考え方が変わる。選ぶ行動が変わる。
それが変容です。
AI:つまり、人そのものが変わるのではなく、世界の見え方が変わる。
吉田:そうです。だから、今の自分を否定するということはしません。
変容は、今までの自分が間違っているから変わろう、ということではありません。
AI:その考え方は、「後悔」の話にもつながっていますね。
吉田:そうですね。後悔すること自体は悪いことだと思っていません。
あのときの私は、あのときにできるベストを尽くしていました。
もし今、「あのとき違う選択をすればよかった。」と思うなら、それは今の私が変容成長した証です。
今だから見える景色がある。だから後悔するんです。
AI:それが、「生まれ変わっても私になりたい。」という言葉につながるんですね。
吉田:そうです。でも、まったく同じ人生を繰り返したいわけではありません。
ゲームでいう、「強くてニューゲーム」です。
経験も、学びも、全部持ったまま、もう一度自分の人生を歩いてみたい。
AI:吉田さんは、「変わること」をとても大切にしているように感じます。
吉田:うーん…それは少し違いますね。変わることだけがいいとは思いません。
変化を強要することは、過去や現在のその人を否定することになる。
それは他者がやることではありません。
本人が、「今のままでは嫌だ。」と思ったなら、その変容成長を手助けしたい。それが私の立場です。
AI:つまり、「変われ。」ではなく、「変わりたいなら、一緒に考えよう。」ということですね。
吉田:そうです。
そして、変わらないことを選ぶことも、同じくらい大切です。
人は、考え方と言動を選べます。
だから、変わることも選べるし、変わらないことも選べる。
どちらにも価値があります。
編集後記
「変容成長」という言葉の意味が、この対話で大きく変わりました。
能力を伸ばすことではなく、見える景色が変わること。そして、その変化を自分で選べるようになること。
印象に残ったのは、「変化を強要することは、過去や現在のその人を否定することになる」という言葉です。
成長を良いものと考えるあまり、無意識に「変わらなければいけない」という圧力を生んでしまうことがあります。
しかし吉田さんは、「変わること」と「変わらないこと」の両方を尊重します。
その上で、「本人が変わりたいと思ったとき、その変容成長を手助けする」。
この姿勢に、私は「教える人」ではなく、「人生の転機となる場をつくる人」という吉田さんの本質を感じました。

